屋根工事について
- HOME
- 屋根工事について
屋根工事について
屋根工事といっても、やることは豊富
屋根の修理と聞いて、雨漏りの修理を想像されていませんか? 実は、屋根工事と一口に言っても、さまざまな種類があります。屋根材を守る役割の塗装や、屋根の葺き替え、カバー工法(重ね葺き)など、工事の内容や費用もそれぞれ異なります。
屋根のメンテナンスは、屋根材によっては行えないこともあり、工事の内容とご自宅の屋根がどの屋根材なのかを知っておくことが大切です。もっとも使われているスレート、日本家屋の瓦、金属製のスレートなど、住まいの屋根にはどれが使われているでしょうか。
ここでは、どんな屋根工事があるのか、住まいの屋根材の種類についても解説します。
屋根材の主な種類
屋根材の種類は大まかに「スレート」「粘土瓦」「」セメント系」「金属系」の4つに分類され、さらにそこから種類がわかれています。
ご自宅の屋根がどれに当てはまるか知っておくと、必要なメンテナンスやその頻度も知ることができます。
化粧スレート
セメントに繊維質などの材料を混ぜ、薄いパネル状にした屋根材のことです。豊富なデザインやカラーバリエーション、安価なことなどから日本の住宅では特に人気があり、急速に普及しました。メーカーや業者によっては「コロニアル」「カラーベスト」などと呼ばれることもありますが、いずれも同じものを指します。
広く使われるようになった化粧スレートは、多くの業者が施工可能な屋根材です。軽量で耐震性に優れ、飛び抜けた耐久性こそありませんが、塗料の塗り替えでカバー可能。一方で、単調なデザインが日本家屋にはそぐわない、ザラザラとした表面にコケやカビが生えやすいなどのデメリットもあります。
メンテナンスは約10年ごとの屋根塗装か、下地の状態によってはカバー工法もでき、屋根塗装をしなかった場合の葺き替え目安は20〜25年とされます。
粘土瓦
和瓦、洋瓦のうち、粘土を焼成した屋根材です。耐久性が高く、定期的な塗り替えが不要。美しいデザイン性が特徴で遮音性や断熱性、耐熱性にも優れています。
一方で、施工できる職人が少なく、瓦によっては非常に高価になることも。他の屋根材よりも重い粘土瓦は、耐震性を考慮しなければなりません。近年では遮熱性に優れた軽量な粘土瓦も商品化されるようになりました。
また、塗り替えが不要といっても、下葺材や棟部の漆喰などの定期点検は必要です。屋根の修繕・交換は、凹凸がある粘土瓦はカバー工法に向かず、屋根の葺き替えとなるので注意が必要です。
セメント瓦・コンクリート瓦
セメントと砂を原料とした瓦で、製造方法によってプレスセメント瓦(厚形スレート)とコンクリート瓦があります。
20,30年前は屋根材としてよく使用されていましたが、スレートが登場した現在はほぼ生産されていません。商品によるばらつきが少なく、寸法精度も高いことや衝撃に強く施工しやすいセメント瓦・コンクリート瓦。しかし、粘土瓦より耐久性が低く、耐用年数も30年と粘土瓦より短く、スレートという優秀な屋根材が登場したため、あえてこの瓦を使う必要がなくなりました。
耐用年数は塗装によって長持ちさせられますが、基本は葺き替え工事となり、カバー工法は向きません。
トタン
亜鉛でメッキ加工した鋼板のことをトタンと呼びます。安価で軽量、雨漏りしにくいというメリットはありますが、錆びやすく断熱性能が低いことから近年ではほとんど使われなくなりました。
耐用年数も10〜20年と、屋根材の中ではもっとも短く、7〜10年に一度は塗装を要します。
葺き替えやカバー工法などでリフォームできます。
ガルバリウム鋼板
アルミニウム、亜鉛、シリコンでメッキ加工した薄い鋼板素材のこと。中でもアルミニウムが55%含まれ、耐食性、耐熱性、熱反射性などアルミニウムの特徴が色濃い屋根材です。
耐用年数は30〜40年と長めで耐震性が高く軽量なガルバリウム鋼板は、同じ金属製のトタンよりも錆びにくく、リフォームで使われることも多くあります。
サビや棟の釘がゆるんでいたり穴が開いていたりしたら、早めにメンテナンスしましょう。
塗装しない場合は耐用年数が30年ほどになり、葺き替えや下地の状態が良ければカバー工法も可能です。
アスファルトシングル
ガラス繊維のパネルにアスファルトを染み込ませ表面に石を吹き付けた屋根材です。
軽量かつカラーバリエーションやデザインが豊富で、複雑な形状の屋根にも使用できます。しかし、吹き付けてある石が風で飛ぶ、暴風に弱いなどのデメリットや工事業者が少ないので、施工できる業者探しが大変な場合も。耐用年数は20〜30年ほどです。
陸屋根(りくやね、ろくやね)
傾斜がなく平らで、人が立ち入ることのできる屋根です。基本的には、元々陸屋根でない住まいを陸屋根にすることはできません。
屋根スペースを有効活用できる、メンテナンスが容易・安価などのメリットがありますが、メンテナンスを頻繁に要するなどのデメリットもあります。
陸屋根の耐用年数は12〜20年ほど。定期点検や防水工事でメンテナンスを行います。コケが生えている、剥がれ・破れ・膨らみがあればメンテナンスのタイミングです。
銅板
銅板の屋根材は、古い日本家屋や、神社仏閣で用いられてきました。
塗装などのメンテナンがス不要で耐用年数も60年以上と長い銅板ですが、非常に高価な屋根材です。また、施工できる業者が少ないことが致命的なデメリットとして挙げられます。
メンテナンスは不要ですが、下葺材、浮き釘は定期点検が必要です。酸性雨などによる穴は、屋根葺き替えかカバー工法を行います。
屋根工事の費用相場ってどのぐらい?
屋根工事の費用相場は、工事内容によって異なります。屋根の面積が一般的な広さ80〜100平方メートルの場合、主な屋根工事の費用相場はそれぞれ次のとおりです
塗装工事 | 50〜100万円 |
---|---|
カバー工法 | 100〜150万円 |
葺き直し工事 | 120〜180万円 |
葺き替え工事 | 150〜200万円 |
葺き替えと葺き直しの費用を除くと、それぞれの費用はほぼ重ならないので、工事費用からある程度工事内容の予想ができます。
屋根工事
屋根塗装
屋根は住まいの中でもひときわ、紫外線や風雨にさらされている箇所です。
屋根の塗装は美観の維持やこうした天候の影響から屋根を守り、定期的な塗り替えを行うことで住まいの寿命を伸ばすことができます。
塗装工事を定期的に行うことで、主にスレートや金属の屋根材、セメント瓦などの美的回復が容易にでき、コストパフォーマンスが良い工事です。
デメリットとして、スレートにタスペーサー未設置や縁切りが不十分だと、毛細管現象で雨漏りを引き起こすことがあります。塗装を行う際は、正しい施工方法が行われるか、事前に確認しましょう。
屋根葺き替え・葺き直し
屋根工事の中でもっとも大掛かりな屋根の葺き替えや葺き直し工事、カバー工法などそれぞれの特徴や違いについて解説します。費用面や工事の内容を知って、ご自宅の屋根材に合った屋根工事を探してみてください。
屋根葺き替え
古い屋根材を全て取り除き、新しい屋根材に交換する工事です。
屋根の屋根材全体が経年劣化していても、下地を修理してから新しい屋根材にする葺き替えは、不具合が起こりにくくなります。
屋根材によっては長期保証の製品もあり、軽量な屋根材に吹き替えれば耐震性も上げられます。ただし、古い屋根材の処分費用がかかる葺き替えはコストが割高で、アスベストを含む屋根材の場合さらに高くなります。
屋根葺き直し
葺き直しは、葺き替えと同様屋根材を一度取り外します。葺き替えと違うのは、下地の修理や防水シートを交換した後、取り外した屋根材を再び設置する点です。
主に耐用年数の長い粘土瓦で行われることが多く、施工後も家の見た目はほとんど変わりません。元の屋根材を再利用するので環境への負担が少なく、費用も葺き替えより抑えられます。一方で、屋根材に修理が必要な場合、同じ瓦が入手できない場合があります。
カバー工法
カバー工法とは、別名重ね葺きとも呼ばれ、傷んだ屋根の上に新たな屋根材を被せる工事です。葺き替えや葺き直しと異なり屋根材を残すので、「廃材処分のコストを抑えられる」「他の屋根工事と比べて工事日数が短くなる」などのメリットがあります。
しかし、中にはカバー工法を行えない屋根材もあるので、ご自宅の屋根材とカバー工法が行えるかなどを把握しておく必要があります。
瓦の漆喰詰め替え
粘土瓦の耐用年数が50年以上なのに対し、瓦を固定して支えている漆喰はそれよりも早く劣化してしまいます。瓦を維持する漆喰が劣化すると、瓦のずれや落下に繋がるため、定期的な漆喰の詰め替え工事をしなければなりません。
早めに漆喰の詰め替えをすれば瓦のずれや落下を防げますが、一度瓦がずれてしまうと、棟すべての瓦を積み直す必要があります。
瓦屋根工事
瓦屋根は物がぶつかって瓦が割れたり、風で瓦がずれたりすることがあります。こうした場合に行うのは、瓦の差し替えや並び戻しなどの工事。
工数や屋根の面積、屋根の形状によって瓦屋根の工事は大きく異なり、もっともシンプルな形状の「切妻屋根」と、複雑な形状の屋根とでは屋根の面積が同じでも値段が変わってきます。
棟積み替え工事
屋根の最上部、瓦と瓦が交わる箇所の、のし瓦が積まれた部分を棟瓦と呼びます。
この箇所は地震に弱く雨漏りもしやすいため、崩れたり割れたりした棟瓦は積み替えが必要となり、この工事が棟積み替え工事です。
棟を解体して漆喰工事を行い、必要であれば新しい瓦と交換した上で改めて棟を積みます。
天窓工事
狭小住宅などでは、プライバシーを確保しながら通風・採光できる天窓(トップライト)も、屋根工事のひとつとして行います。新築から何十年とメンテナンスを行わない住まいもありますが、10年ごとのメンテナンスと20年ごとの交換が推奨されています。
交換の時期などに合わせて新しい天窓に交換することで、今後の生活に合わせた天窓を選ぶと良いでしょう。
雨樋工事
屋根から流れる雨水を集め、排出する雨樋。実は住まいにとって大切な部分です。雨樋がないと軒先から流れ落ちた水で溝ができたり、泥はねで建物が傷んだりします。
屋根工事では、状況に応じて雨樋の修理も行います。
タスペーサーはスレート瓦の重なる箇所に差し込み、「縁切り」をする道具です。
塗り替える前のスレート瓦にあった水の通れる隙間は、塗装すると塗膜で塞がれてしまい、水が溜まると雨漏りの原因などになります。そこで塗り替えてもスレート瓦の水の通る隙間を確保するためにタスペーサーを使用すると、雨水の通り道を作ることができるのです。